平成24年4月25日 
 楢葉の桜 ほんとうの春の花
 楢葉町山田岡清隆寺のしだれ桜と山麓線沿いのヤマザクラ 平成22年4月18日撮影
 

今年も楢葉町の桜を眺めることはできなかった。4月に予定されていた楢葉町の警戒区域から解除準備区域への格下げが実現しなかったからだ。楢葉町と国との調整が難航しているようだ。

想い出すと、

4月も10日を過ぎると、楢葉町内も桜が咲き始めた。北田天満宮参道の桜並木や楢葉中学校の校庭の桜が想い出に残っているし、それぞれのお寺境内など、あちこちで桜の花を楽しめた。

そしてさらに印象深いのは、花と一緒に若葉が展開するヤマザクラ。ソメイヨシノが満開となる頃にはヤマザクラも咲き始めた。

ヤマザクラの美しさは独特だ。淡い褐色の若葉を見上げると、その透明感がたまらない。

ヤマザクラが満開となり日中が汗ばむ陽気になると、耕された田圃には水が引かれ、水面が日の光で燦々と輝く。水ぬるむと蛙もにぎやかに鳴き始める。蛙の合唱だ。

菜の花畑そしてレンゲの花も美しく咲き、水を張った田圃からは靄がたちのぼる。

どこからともなく淡い春の香りが漂ってくる。菜の花や水ぬるむ田圃の香りだ。田圃の水面からたちのぼる靄もほのかに香る。この香りは春独特という感じがする。春の香りを感じると、身体全体で嬉しさを感じ、力が漲った。

青空のもと、子供たちが軽快な春服ではしゃぎながら走り回っている。

これが故郷の春なのだ。

楢葉の春は明るい。活気にあふれていた。子供たちは元気に遊び回り、笑顔がまぶしく感じた。

その姿が、今は見ることができなくなってしまった。

時は廻れども、楢葉に春は来ていないのだ。

明るく暖かく、人々の活気であふれ、子供たちの笑顔が戻ってこなければ、楢葉の春とは言えない。

何時になったら故郷楢葉に春が戻って来るのだろう?

いや、戻って来ないかもしれない。

大規模な中間貯蔵施設が出来たら、多くの人は戻らないかもしれない。

心配な東電福島第一原発の4号機使用済み核燃料プールに何か重大事象が起きたら、今度は永遠に戻れないかもしれない。

今、故郷の楢葉町はとても不安な状況なのだ。

一昨年までは楢葉でたしかに春を感じることができた。

しかし、
もう一度楢葉で春を感じ、故郷の桜を眺めたい。

想い出の桜、山田岡の清隆寺のしだれ桜と山麓線沿いのヤマザクラの写真を添えて、故郷に春が戻ることを願いたい。

 
 
山田岡の清隆寺境内に咲く満開のしだれ桜。
 
楢葉町の天然記念物に指定されている。樹齢約200年とのことだ。
 
 
眩しい春の日射しのなか、桜花が滝のように流れていた。
 
一昨年までは多くの人々がしだれ桜を愛でに訪れていた。
美しく壮観な桜の枝垂れ具合。
 
清隆寺のしだれ桜は楢葉町が誇る名所だった。
 
山麓線沿いのヤマザクラも花開いていた。県道いわき浪江線の楢葉町上繁岡から富岡町赤木までの間、ヤマザクラが随所に咲いていた。
 
ヤマザクラは日本の国花。ほんとうの春の花。
 
花が開くと同時に若葉も展開し始める。
 
日当たりの良い谷では満開となっていた。
 
見事な咲き具合に感動した。
 
花とともに展開し始める若葉は透明感ある彩り。この彩りを眺めると心から嬉しくなってくる。日本のほんとうの春を感じるのだ。
 
 
 
願わくば、もう一度山麓線を歩いて、ヤマザクラを心ゆくまで楽しみ、ほんとうの春を感じてみたい。 
 
 
 
清隆寺のしだれ桜も山麓線のヤマザクラも、昨年と今年は眺めることができなかった。

来年はどうなのだろう?

楢葉町を含む双葉郡の町村は新たな、そして重大な課題と向き合っている。

町村合併の問題だ。

町村合併の必要性が訴えられはじめた。

浪江町・双葉町・大熊町の大部分は帰還困難区域に指定される可能性が高い。富岡町も北半部の夜ノ森地区は居住制限区域となる可能性が高い。さらに双葉町・大熊町・楢葉町には大規模な中間貯蔵施設の建設が計画されている。このような状況のなかで、従来の自治体を維持したまま住民の帰還を待つことはかなり困難という意識が高まりつつある。楢葉町だって中間貯蔵施設が出来てしまったら、戻る人は少なくなってしまうことは確実だ。

予想ではあるが、これから先、

広野町・楢葉町・富岡町がひとつの自治体として合併再編され、浪江町・双葉町・大熊町も合併再編されるかもしれない。

飯舘村は除染後に全村民が帰還することを村長は強く願っているが、広大な山林の除染が果たして可能なのか?山林の除染が出来なければ田畑や牧草地の除染は不可能である。現実的に極めて困難と思う。そうした場合、飯舘村独自で経済的に自立できるかどうか不安だ。経済的に村が自立できないとなれば、独自の税収が確保されなければ、自治体の存続は困難である。最悪の場合は、飯舘村が南相馬市と合併するという可能性も否定できない。

原発事故災害から一年以上を経過して、今まで見えていなかった様々な問題が浮上してきている。昨年までは放射能禍から逃れ避難し、避難先での生活を確保するだけで精一杯だったが、一年を経過して、これから原発事故災害被災自治体をどうしなければならないかという重い課題が見えて来たのだ。

仮の町を避難先につくるというだけではすまない問題だ。自治体の存続までをも視野に入れて、今後避難住民をどのように生活保障してゆくのがベストなのか、その課題の解決に向けて具体的な政策を立てる必要に迫られている。


まず第一に避難を余儀なくされた人々の針路を確保すべきだ。自治体存続が住民の針路に優先することがあってはいけない。住民の針路が最優先だ。

それと、自治体存続のための除染を強行し、結果として、一番得したのが除染業者だったという愚は絶対に避けなければいけない。

これから先に見えてきた重い課題、住民本位で取り組まなければならないと思う。首長のメンツにこだわっていてはいけない。